専用サーバサービスは、事業者によって料金もさまざまですが、その機能もさまざまです。各社のホームページでは、専門用語が多く、分かりにくいのではないでしょうか。逆に言えば、それが分からなければ利用すべきではないともいえます。とはいっても、人気サイトになれば、そうも言ってられません。ここでは、どのようなサービスが自分にあっているのかを詳しく解説していきます。あくまでも一般論ですので、詳細は、個々のサービス事業者にお問合せ下さい。
専用サーバを選定するポイントはいくつかあります。一番分かりやすいのは料金ですよね。しかし、料金に関しては、誰でも見れば分かるものですから、ここでは解説しません。ここでは、目に見えないコストや、技術的な観点から、サーバ選定のポイントを解説していきます。サーバ選定のポイントは、大きく分けて次の通りです。
* OSの種類とバージョン
* ハードウェアのスペック
* ディスクサイズと冗長化
* ネットワーク帯域
* 付加サービスの充実度
* データセンターの信頼性とロケーション
以降、それぞれについて、詳細にみていきましょう。
■OS の種類とバージョン
専用サーバを申し込む際には、OS の種類、場合によってはそのバージョンを指定することができます。多くの事業者で用意されている
OS は概ね、以下の通りです。
* Linux
* FreeBSD
* Solaris
* Windows
Linux に関しては、さらにディストリビューションも選択しなければいけません。Redhat 系でいえば、近年は、Fedora
Core、RedHat Enterprise Linux、WhiteBox Enterprise Linux を良く見かけます。FreeBSD
では、4.x と 5.x を選択することができる事業者があります。これらの OS は、OS 自体は無償ですが、サポートは有償といったものがありますので、自社の技術力、コストを見て、追加で契約するもの良いでしょう。
(当サービスではRedHat Enterprise Linuxを標準(無償)採用しております。Windowsマシンなどのセキュリティーホールが問題視されるサーバーの提供、収容は行っておりません。)
Solaris をサポートする専用サーバ事業者は少ないのですが、もともと Sun Microsystems 社(以降、Sun)が商用の
OS としてハードウェアとセットで販売していたものです。歴史も古い分、OS の高い信頼性や、技術者も多いのが特徴です。ただし、専用サーバサービスの料金も高額になります。しかし、Sun
は 2005 年 1 月に、オープンソースライセンスとし無償とすることを発表しました。今後、専用サーバサービスでも、Solaris
が採用されるかもしれませんね。
Windows に関しては、現在では、Windows 2000 サーバもしくは Windows 2003 サーバが用意されています。ご存知の通り、有償の
OS ですから、専用サーバ料金に反映されたものになってきます。
どの OS を選択するのが良いか迷うところでしょう。結論から申し上げると、一番詳しく知っている OS を選択するのが良いと考えます。専用サーバを使うためには、それを運用する従業員もしくは委託先があると思いますが、それを担当する人が一番得意とする
OS を選択しましょう。技術者といえども、すべての OS に精通する人は世の中に多くはいません。必ず、得意とする OS があるはずです。安全に、そして効率よくサーバを運営するために、一番得意とする
OS を選定しましょう。
(当サービスは Linux専門のサーバー会社となります。)
■ハードウェアのスペック
各専用サーバサービスでは、ハードウェアのスペックを選定することができます。主に、CPU、メモリーをいくつかのラインナップから選定することになります。コストとの兼ね合いではありますが、いいものを選んだほうが安心であることには違いありません。ハードウェアのスペックに関しては、多くの事業者では、月額料金ではなく、初期費用に割り当てられていることが多いと考えられます。初期費用が多少変わってきますが、さほど違わないはずです。何年も継続して利用することを考えれば、多少スペックが良いものを選定したほうが無難でしょう。いくつかの専用サーバ事業者のサイトをご覧になって下さい。もしサーバスペックを個別に選定できる場合、月額費用ではさほど違いはないはずです。ただし、サービスによっては、他の部分とセットで、CPU,
メモリーのスペックを変えている事業者もあります。正確に言えば、このようなサービスは、サーバスペックが選択できるわけではありませんが、他の部分が自社にとって必要な機能なのか、また、それに見合う料金なのかを吟味して下さい。専用サーバのコストは、初期費用よりも、月額費用のほうが、トータルすると、大きなコストになってきます。初期費用ではあまりケチらないほうがよいでしょう。いくら技術力抜群の技術者といえども、CPU
速度や物理メモリーを超えたパフォーンスチューニングはできませんから。
専用サーバを運用しはじめてから、途中で、サーバを乗り換えるというのは、大変な作業を伴います。場合によっては、一時的にサービスをとめなければいけません。サイトが人気になってから後悔するよりは、少しの負担ですみますから、高めのスペックを用意したほうがよいでしょう。
(当サービスは運用開始後のスペックアップニーズにも柔軟に対応し、各種オプションサービスを充実させておりますので運用用途に応じた最適なマシンチョイスを行って頂くことができます。)
■ディスクサイズと冗長化
ディスクサイズと冗長化については、ハードウェアのスペックの一つではありますが、おもにオプション機能として提供される部分ですので、あえて別項目としました。
まずディスクサイズですが、通常のサイトであれば、数 10 ギガバイトもあれば、十分でしょう。あえて付け足す必要はないと思います。有名な大規模サイトといえども、通常の
HTML やイメージファイルだけで数 10 ギガバイトに達するようなコンテンツを持っているところはほとんどありません。一番気にしなければいけないのは、コンテンツのサイズではなく、ログのサイズです。例えば、WWW
サーバが出力するログがありますが、放置しておけば、相当なサイズに膨れ上がります。システム管理の話ではありますが、これらログのローテーション設定が適切に設定され、それが実行されているかを確認しなければいけません。これをしっかりおこなっておけば、通常はデフォルトのディスクサイズで十分なはずです。
(当サービスではログローテーションはディストリビュージョン初期状態と同様の設定で提供していますがこちらは自由に設定変更して頂くことが出来ます。)
次に、ディスクの冗長化についてです。これもオプションサービスとして提供されるところが多いようですが、中には上位グレードを契約することで、標準で装備しているサービスもあります。主に、RAID
1(ミラーリング)が用意されています。専用サーバに、同じサイズのディスクを 2 つ用意し、ファイルへの書込みがあれば、2 つのディスクに同時に書き込んでいくというものです。もし一つのディスクが故障しても、もう一つのディスクで運用でき、データも守られるといったメリットがあります。これを採用するかどうかは、貴社のポリシー次第です。コストとの兼ね合いで採用を検討して下さい。
サーバ事業者は、サーバ上のデータを一切保証しません。また、ハードウェアは必ずいつか壊れます。ディスク障害時の対策は、貴社自身が選択するものです。
(当サービスでは大容量HDDのご提供からオプションでRAID1を選択して頂くことも可能です。その他複数HDDの搭載による世代別バックアップ設定や、SCSIマシンにおいてはRAID5や10といった対応もできます。また、DBサーバーのローカル接続や高負荷サーバーへは複数台にてクラスタリングを行って頂くことも可能です。)RAIDシステムの種類と性能に関して
■ネットワーク帯域
専用サーバに接続される物理的なネットワークの帯域を表します。具体的に言えば、10 BASE-T なのか、100 BASE-TX
なのか、1000 BASE-T なのかということです。サーバ事業者のホームページでは、10Mbps とか 100Mbps といった表現で紹介されていることが多いようですが、実際には、この速度を保証するものではありませんので、注意して下さい。また、速度だけではなく、同じセグメントにどれだけのサーバがネットワークを共有しているかも重要な選択基準です。良心的な事業者では、各セグメントでどれくらいのトラフィックが流れているかを公開しているところもあります。このような事業者であれば、もしトラフィックが一杯になり、ネットワークレスポンスが低下したときには、迅速な対処をしてもらえることが期待できます。
以上はベストエフォートと呼ばれるサービスに属するのですが、なかには本当に帯域保証をしてくれるところもあります。もちろん、料金に反映されるわけですが、非常に安心です。
いくらサーバのスペックが良くても、ネットワークが混雑していては、意味がありません。このあたりの品質も十分に吟味しましょう。
(当サービスではトラフィック帯域保証回線サービスオプションのご提供も行っております。)
■付加サービスの充実度
専用サーバを契約した時点では不要な機能でも、サイトが人気になりアクセスが多くなったり、ウェブの重要度が社内で増すことで、後になって必要になってくることがあります。契約する専用サーバサービスにどのようなオプション機能があるのかをしっかりと把握しておきましょう。また、そのオプションは後から付け足すことができるかという点も重要なポイントです。後で付け足すことができない機能であれば、当初から採用を検討しなければいけません。
付加機能として、主に以下の項目があげられるでしょう。
* ファイアーウォール
* データバックアップ
* 監視
* IP アドレスの追加
* メモリー・ハードディスク増設
* アプリケーション
アプリケーションとは、例えば、アクセス解析ソフトであったり、サーバ設定がブラウザーで行えるソフトであったり、スケジュール管理ができるソフトのことです。サービスによっては、追加料金なしで標準で使える場合もあります。このようなオプションラインナップを用意している事業者であれば、今後、もしそれらが必要になったときのことを考えると、安心です。
(当サービスでは上記全ての付加サービスの提供を行っております。)
■データセンターの信頼性とロケーション
多くの人があまり気にしないのがデータセンターです。ところが、専用サーバ選びの際には、実はとても重要なファクターであることを十分に認識して下さい。いくら高スペックのサーバと広帯域のネットワークがあったとしても、そのサーバが設置されているデータセンターに信頼性がなければ、全く意味がないのです。データセンターに求められる要件は主に次の通りです。
* 電源の安定供給
* 一定の温度・湿度にセンター内を保つ空調設備
* 物理的なセキュリティー
* 建物自体の耐震性
このような情報の詳細は、あまり一般的に公開されることはありません。しかし、データセンターの設備に関して、一切紹介がなされていない事業者はやや不安があります。データセンターに自信があるサーバ事業者は、これらの情報を詳細にホームページ上で紹介しています。これらの情報はしっかりとみていきましょう。
上記の項目で、「物理的なセキュリティー」というのが分かりにくかったかと思いますが、これは主に入退室管理のことです。誰でも入れてしまうサーバルームでは、セキュリティー上非常に危険です。サーバ事業者によっては、専用サーバが設置されているデータセンタへは、契約者といえども一切禁止と明示しているところもあります。素人考えでは、専用サーバを契約したんだから、ちょっとくらい見せてくれてもいいじゃないかと思うかもしれません。しかし、セキュリティー上、これくらい厳しくしたほうが良いのです。もし貴方が専用サーバを契約したとしましょう。実際にそのサーバを見て、何をしますか?何もすることはないでしょう。そう、見る必要なんてないはずなんです。容易にサーバを見せてくれる事業者の方が危ないと肝に銘じておきましょう。
次にデータセンターのロケーションです。特に住所なんて知る必要はありません。ここで知っておくべきことは、国内なのか、海外なのかです。以前は、海外のデータセンターのほうが安かったため、コスト重視で海外のデータセンターが好まれた時代もありました。現在は、以前ほどコストにも違いはなく、国内でも安くなってきています。海外のデータセンターに大きな魅力はなくなってきたといえるでしょう。
できれば、国内のほうがお勧めです。それは、ネットワーク的な距離が短いからです。サイトへ訪問してくる人は、主にどんな人ですか?恐らく、日本国内からアクセスしている人がほとんどではないですか?もし貴社サーバが海外にあるとすると、ネットワーク的な距離が遠くなります。その遠さが、データ転送の遅延を生じさせます。また、途中経路が長い分、ネットワーク障害の可能性が高くなってきます。もしこの距離の遠さを克服できる信憑性のある説明がなければ、国内にデータセンターを持つ事業者のほうが安心といえます。
私の感想ですが、海外にデータセンターがある場合、著名な企業が提供しているサービスでも、データ遅延だけは克服できないようです。ssh
等で対話的にアクセスする場合には、その遅延がとても気になります。
(当サービスデータセンター概要に関してはこちらをご覧下さい。)
以上、専用サーバ選定のポイントを解説してきましたが、いかがでしたか?ここで解説した内容は、一般論ですから、実際には、個々のサービスを直接吟味して頂き、自社にあったサービスを選定して下さい。本コーナーが、貴社のサーバ選定の参考になれば幸いです。不明点などございましたらどうぞお気軽に御連絡下さい。
|